脱サラを目指して新規就農を考えた話(下)

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何を作ればいいのかな

農業というのは、基本的に自然を相手にするものなので、いわゆる植物工場でもないかぎり気候や土壌の影響を大きく受けます。そのため、場所を限定すればその土地にあった品目しか選択できませんし、品目を限定すればおのずと場所が決まっていきます。

他の要素としては最初に投資できる資本です。資本が大きければ大きいほど選択肢は広がりますが、リスクは増えます。機械化できる品目は初期投資が大きい反面実労働時間は減りそうなのはメリットです。しかし、その分規模も大きくしないといけないので農地の確保や初期費用が大変です。

大きく借金をして始めた場合、計画通りにいかないとすぐに破綻しかねません。農業は自然を相手にするので、自分がしっかりやっていても計画通りにいかないこともままあります。

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大規模は新規に厳しい

そう考えた場合、米などが代表的とされる機械化で大規模にという品目は新規就農には難しく、手作業がメインの品目で勝負するしかなさそうです。そういった品目で儲けが出せそうなものは基本的に施設野菜がメインで、その場合ハウス等の初期投資が必要になってくるのが悩ましい反面、土地の面積は少なめでいけそうなので、ハウス栽培の品目に絞ろうと考えました。

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いちごでの新規就農を目指す

ではハウス栽培で何がいいのかな…と調べていくと、イチゴはどうだろうかと目をつけました。植物学的にはイチゴは野菜なのですが、果実的野菜ともよばれ一般的には果物と認識している方が多いかなと思います。野菜は高騰すると、売上が落ちることが多いようですが、果物は比較的値上がりに寛容なようですし、高品質なものが作れれば贈答用としての需要もあります。

品目も絞れてきたので、次は場所探しです。ぐぐってみると新規就農を志す場合、県で行っている就農相談窓口へ相談する、就農支援セミナーへ参加する、入実収納相談に行ってみる、というのがひとまずの第一歩のようです。セミナーは以前にマイナビの就農FESTへ行ったのでいいかな…ということで、就農相談窓口へ行ってみることにしました。都心に近いエリアだと地価も高そうで、初期投資が嵩みそうですし農地も少なそうなので、県央あたりの農林振興センターが良さそうです。

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投資家目線で考える「リスク」とは

一般的には「リスク=危険」と捉えられがちですが、投資の世界でのリスクとは「期待できるリターンのブレ幅」のことをいいます。リスクが低い、というのはいいことばかりでなく、損をする危険が少ない代わりに儲けも少なくなると言えます。

そして高リスクの場合は儲けも損も大きくなるので、リスクが高いということが悪ではないのです。そしてあくまでブレ幅なので、儲けの方に大きく偏っているブレもあれば、損の方に大きく偏っているブレもあります。

損の方に大きくブレることが見込めるものには投資しないのが当然ですが、しっかり吟味しないとそれに気づけないこともままあります。

リスクを取るときは慎重に行うべきですが、リスクから逃げてばかりいては機会損失を発生させてしまいます。どれくらいリスクを許容できるかはその人のスタンス次第なので、まずは自分のリスク許容度をよく理解しておくことが大事ですね。

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地元で具体的な話を聞いてみよう

2020年3月。県の農林振興センター農業支援部へ電話で予約をし、アポを取って友人と二人で向かうことになりました。前述の通り、祖母の実家で農業を始めるのは一旦諦めたので、まずは近場で探してみよう、と。

まずは担当者の方と面談で、エントリーシートのようなものに住所氏名年齢、農業経験はあるか、どういった農業を行いたいのか、拠出できる資産はどれくらいあるか、といった希望や現状を記入し見ていただきます。

希望の作物はありますか?と聞かれたので、以前から少し調べていたいちごはどうですか?と聞いてみます。いちごなどの施設ものは新規就農者にとって悪くない品目のようです。

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希望の品目で場所が決まる

目指す作物をいちごと限定する場合、Y町が良さそうとのこと。やはり品目によって栽培に適した場所があるようですし、市場などへ出荷をする場合もその地域で作られている作物のほうが、直売所などにも卸しやすいようです。

いちごの場合、隣県あたりも視野に入るのかなとも思いましたが、農林振興センターは県の施設のため、他県を勧められることはありませんでした。当たり前といえば当たり前ですね。Y町の担当にも情報を流していただけるとのことで、次はY町の農政課に話を聞きに行くことになりました。

ちなみに施設ものというのはハウスなどの施設が必要な野菜などのことです。対義語としては路地もので、ハウスなどの施設が不要なもの。施設ものの方が小規模で始められるのがメリットですが、機械化しづらく人の手間がかかりがち、施設の建設に費用がかかるというデメリットがあります。

路地ものは多くの場合機械化しないと利益が取れないものがほとんどなので、初期コストとしては意外にも路地ものの方がかかりそうです。調べてみると広大な農地と大型機械を必要とする路地もののほうは新規には厳しそうでした。

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研修はどこで受ければいいの?

新規就農にあたって、実家が農家で昔から手伝いをしていた、農業法人や農協などに勤めていて栽培スキルが有る、などという経験者以外は研修を受ける必要があります。いきなりさあやるぞ!といっても農地を貸してもらえるわけではありません。何のスキルもない人に農地を貸して、耕作放棄地にされてしまっても困るからです。

私が調べた限りでは方法としては大きく分けて3つ。農業大学へ行く、都道府県等が認定した先進的農業経営体(認定農業者や農業生産法人)で実地研修を受ける、認定農家ではない農家に研修に行く。メリット・デメリットは以下の通りです。

まず農業大学。概ね1~2年で基礎からしっかり学べるようです。学校ですし、人数もそこそこ募集しているので、時期を逃さなければ間口は広そう。後述の給付金の対象でもあります。デメリットとしては費用がかかること、募集の時期が決まっているので逃すと1年後。費用はざっと年間20万円程度(寮費や給食費除く)のようです。

次に先進的農業経営体での実地研修。受けるところによって差はありそうですが、基本的には費用はかからなさそう。こちらも給付金の対象。デメリットは市町村によりけりと思われますが、農大に比べ受け入れ先を探すのが難しそう。

最後に認定農家ではない農家に研修に行く。給付金の対象外のため、制約はゆるいですがどういった研修になるかは農家さん次第。下手をすると労働力扱いであまり研修にならないというリスクも。どんな農家さんかどうかしっかり下調べしてから行かないと危険かもしれません。場合によってはアルバイト扱いで収入はあるかもしれませんが、そうなってくるとより研修にならない可能性も。

市町村や公社などで行っている明日の農業担い手育成塾などで研修を受ける方法もありますが、こちらはまず農大や先進的農業経営体で1年以上の研修を受けるのが前提になっているようです。

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農業次世代投資資金

新規就農を検討している方は調べている方も少なくないと思いますが、国の施策で新規就農者には給付金を受けられる制度があります。

以前は青年就農給付金といい、今は農業次世代投資資金と名前と内容が変わりました。厳密に言えば給付金から投資資金と名前が変わっているので給付金ではないのかもしれませんが、給付金の方がわかりやすいのであえて給付金と言わせていただきます。

こちらの給付金は、ざっくり言うと2年間以内の研修中に150万円、研修後に5年間150万円の給付を受けることができます。一見すると就農者を増やすいい制度のように見えますが、希望者に対して予算が少ないらしく、希望者全員が受けることは現状難しいようです。

2020年の春頃に県の農林振興センターで聞いたときも、予算をやりくりするために半年分だけ先に給付するとのことでした。もう半年経っていますが対象者の方は残りの分、貰えたのでしょうか。

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給付金は簡単には貰えません

給付を受け持つ機関も、2年の研修中は都道府県、経営開始後の5年は市町村と管轄が違います。そのため、研修中は貰えていたけれど、経営開始後は貰えないということもありえるそうです。

経営が上手くいき、総所得が100万円を超えてくると交付額が減っていき、給付金を除く所得が350万円に達すると交付停止です。経営が適切でないとみなされた場合も交付停止ですし、交付されていた期間と同じだけ営農を継続しなかった場合は返還義務があります。

このように適切かどうかの審査があったり、続けなかった場合の返還義務などの厳しさは、以前の青年就農給付金時代にちゃんと営農せずに給付金を貰っていたり、給付金ありきで営農した結果、給付金を貰える期間が終わった時点で破綻した、という事例があったからだそうです。

貰えるものは貰っておきたいと思いますが、簡単ではなさそうですし、あまり当てにしないようが良さそう。ちなみに見学させていただいたY農園さんでも研修生は受け入れていますが、見学させていただいた2020年現在では「都道府県等が認めた研修機関」とみなされていないそうで、こちらの給付金を受けるて対象にはなれないそうです。

Y町の担当者曰く、Y農園さんは後進の育成にも力を入れているのがわかるので、いずれは認定の研修機関にしたいし、するべく動いているとのことでしたが、時間がかかりそうとのことでした。やはり予算などの兼ね合いが厳しいのでしょうか。

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給付金の年齢制限は緩めに

この給付金、以前は45歳になる前に営農を始めること、だったのですが今は50歳になるまでに変わりました。応募者が少なかったのかな?と思う反面、給付金の総額は足りていないようですし…疑問が残りますが、個人的には猶予期間ができたので助かりました。でも給付は受けないで始める可能性も割とありそうなので関係ない、かも。

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現地へ見学に行ってみよう

動き出したはいいものの、出てしまいました緊急事態宣言。コロナの影響はここでも出てきました。本業の方も在宅勤務で出勤者を減らすなどの対応が始まりましたので、この状況で不要不急の外出をするわけにもいかず。

とりあえず解除されるまでは動けないな…ということで、Y町の農政課に行ったのは2020年の6月になってからでした。Y町の農政課では、実際に新規就農を始めた方や明日の農業担い手塾で支援を受けている方のハウスなどを見せていただきました。

以前にネットで調べていて、県のセンターの担当の方にも紹介頂いた町の支援とは別に新規就農者を育てているY農園さんも見学させていただきました。

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農業はやはり休みなしの低所得

園主さま曰く、農業は休みなくずっと働き続けるのが基本で、特に始めた数年は大変。慣れてくれば自分で休みを入れられるように調整することもできる。所得はサラリーマンよりも少ないよ、とのこと。

一緒に就農を考えている友人はドン引きしてしまったようですが、個人的には割と想定内でした。あくまで試算でしかないのですが、いちご農家を始める場合の初期費用はどれくらいかかるのか、所得はどれくらい狙っていけるかを自分なりに計算してみたものがあるので、そちらも紹介したいと思います。基本的にネットで見つけた資料を一人用にアレンジしただけですが。

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一人で新規就農、大丈夫?

農家のモデルケースは、夫婦で営農することを前提にしているものが多いようです。いちご農家は県によっては独り者が営農することを前提にしていないので、研修なども一人では受けさせてもらえない、という話を聞いたことがありました。

だとすると一人でやっていくのは厳しいのかなと考えていたので、案内してくれた農政課の課長さんに話を聞いてみると、特にそういうことはないそうです。当然夫婦などでやるメリットはありますが、一人でやれないことはないですし、見学で見せていただいた方も一人でやっているとのこと。

法人を設立し人を雇う前提で始める、友人と一緒にLLPを作って共同体で行う、など一人ではない方法も考えてみたのですが、リスクも増しますし、自由度も下がってしまいそうなので、まずは一人で小規模に始めようかと考えています。

配偶者はいませんし居るようになる予定も微塵もないので夫婦で始めるという可能性は宝くじで億当てる可能性くらいほぼゼロです、はい。そもそも宝くじは買わないとあたりませんし、買ってないのだから誰から貰うとか拾うとかそういうミラクルでもない限りゼロです。

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実際に農作業を体験してみよう

2020年9月、以前に見学でお世話になったY町の農政課の課長さんから「いちごの定植の体験をしてみない?」とお電話をいただきました。

課長さん曰く、未経験の人が何もわからず始めると、こんなにしんどいとは思わなかった、と作業の辛さでリタイヤしてしまう人も少なくないのだとか。確かにそのとおりだと思うので、有給を取って実際に行ってみました。

9月ももうすぐ下旬になろうという時期なのに、運悪く気温は30℃超え。畝は出来ていたので、穴を掘って1つの畝に2列、互い違いになるようにいちごの苗を植えていく作業です。日差しもそこそこでハウスの中は40℃近くなっているという、かなり過酷な環境での作業でした。

滝のような汗を流しながらの作業で、それなりにしっかり水分補給はしていたつもりなのに脱水気味になっている感じでした。雨が降ったのは結構前だったのに、ハウスの中がかなりぬかるんでいるのが想定外で、長靴を履いてくればよかったと後悔。

ハウスですし、雨が降っているわけでもないのでぬかるみは想定していませんでした。思ったより水はけが悪いんだな…というのが勉強に。田んぼをいちごハウスに転用した場所だからなのか、土がかなりの粘土質で、作業はその点もしんどいものでした。水はけが悪いのも、もともと田んぼだった場所だったからでしょう。

自分で始めるときの場所の選定は、土の状況もよく見て決めるべきとその点も勉強に。時間を掛けて堆肥などを入れていけばいい土になるのかなとも思いますが、そのあたりも学ぶ必要がありそうです。とりあえず田んぼの粘土質な土でもいちごは問題なく育つそうです。ただ農作業のパフォーマンスは落ちるので、素人ながら微妙ではないのかなと感じました。

作業自体は午前中だけだったのですが、午後もできるかと言われると今の体力ではかなりキツそう。慣れてくればいけそうですが、やはり体力は必要なのだと感じました。ただ作業自体は苦ではなくて、これならやっていけそうと手応えを感じました。この辺は人によるところが大きいと思いますので、就農を考えている方はぜひ体験しておくことをおすすめします。

本気でがんばりましたが、正直不慣れなので役に立ってたのかなぁというのも本音です。

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いちご農家って儲かるの?

まず農業全般のお話ですが、結論から言うと農家全般が儲かるセクターではないので、よほどの才覚がある人や、親から広大な農地や農機具を引き継いで余裕だよって方以外は厳しいんじゃないかと思っています。そんな中で「何を作ればいいのかな」で述べた通りいちごは比較的新規参入しやすい品目ではないかと考えました。

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いちご農家の労働時間と所得をざっくり計算してみる

ざっくり概算なのですが、10aハウスで始めた場合、技術を身につけてそれなりの腕前になれば11月中旬~5月中旬(182日と仮定)までの約半年間収穫したとして、aあたり480kg、10aで約4.8トンの収穫が見込めるそうです。4,800kg÷182日で1日あたり約26.3kg。

収穫はいちごの重さが15g平均なら1日平均の収穫個数が1758個、300gパックで大体88パック作れます。900円/kgで出荷できたら、24,300円。182日出荷したとして売上442万円。上手にやれるようになってくれば経費4割くらいまで圧縮できるそうなので所得265万。

労働時間は平均7.5h/日、ピーク時10.6h/日。腕前や相場によって結構変わってくる可能性は高いですが、平均的な値を出すとこれくらいのようです。

約半年で265万なので、そこそこ悪くないような気もしますが、休みなしです。通常は繁忙期のみパートさんを入れたりするようなのですが、そうしなかった場合はピーク時は11時間程度働かなくてはなりませんし、7.5hで182日とすると1365時間。

所得にはここから所得税や住民税もかかってくるので、265万にざっくり8掛けとして212万、社会保険も考慮すると手取りは180万円(国民年金+国民年金基金(厚生年金と少しでも差がなくなるように基金も計算に入れています。年金など社会保険については後ほど別ページで語りたいと思います。国民健康保険で32万とざっくり計算)といったところでしょうか。時給換算で1300円。

夏頃に行う苗の定植や冬までの栽培管理の時間は入っていないので、実際の総労働時間はもっと増えそうですので時給換算は更に下がりそう…。

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今の仕事と比較すると?

今の仕事と比較すると、現職は基本週休2日、祝日休み、有休は20日完全消化、夏と年末年始の休暇ありで休みはかなり多い方な会社だと思います。時間外も月10数時間程度と多くないので2019年の実績を見ると労働時間は年間で約1720時間、税金と社会保険を除いた手取りで440万くらいなので時給換算だと3300円ほど(ボーナスやら手当やらも一切合切計算して均した金額です)。

1時間あたりの所得は6割減で4割くらいになりそうです。ここが新たに始めようとしているイチゴ農家と大差ないのであれば、すぐにでも農業を始めてしまうのですが、悩ましいところです。余談ですが労働条件も改めて書き出してみるとやっぱり恵まれているよなぁ…とはつくづく思います。

春から秋に掛けてはいちごにはさほど手がかからないので、その間に別の作物で売上を稼ぐのも手かと思っています。ざっくりそこで100万ほど所得が増やせれば、余裕も出来てくる可能性もあります。

同じくらい時給1300円が取れる作物だとして、770時間ほど。半年で割ると1日平均4.2時間と考えればそこまで辛くはなさそうですが、総労働時間は2100時間超に。現職の年間労働時間は1600時間くらいですので、週40時間労働で換算すると、時間外にはみ出るのは月40時間程度。

会社員が残業をするために締結される36協定の上限が月45時間と考えると、なんとかいける範囲でしょうか。でも普通に52.14週×40時間だと2085時間ですし、年休104日の会社で土日以外休みなしくらいと考えれば普通…かも?

ちなみにこれは完全に机上の空論なので、実際どうなるかは正直読めません。でもある程度試算しておけば現実に絶望しないで済むかな…と計算してみました。実際はもっと厳しい可能性もあります。

天災などでハウスが壊れたりすればその分の支出も増えますし、最近は農作物の泥棒も少なくないようです。

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今のところここまで

いまのところ、就農に向けた動きはここまでです。今後の動きがあればこのブログに追記していきますので、ご興味のある方は時々チェックしてただけたら嬉しいです。

脱サラ、就農の話題以外にもお役立ちコラムや大して役に立たないネタコラムなども書いていきたいと思いますので、よろしければそちらもご覧ください。実際のところ、本当にいちご農家を始めるか、ということについては悩んでいるところもあります。

上記の通り、今以上に頑張ったとしても、所得はそれ以上を望むことは厳しそうです。ただやりがいという意味では、おそらくだいぶ違うのではないかと思っているので、踏ん切りがつけるかどうか次第かなと思っています。そのあたりの葛藤なども書いていきたいと思いますので、ぜひご覧ください。

もし、現職の農家さんでアドバイスしてやるぜ、という方がいらっしゃったらぜひコメントなどお願いします。所得の見込みなどは結構古いデータを元に出しているので、今はもうそんな単価はつかないとか、資材費はもっと高いだろうとか、ありましたらぜひ教えて下さい。(以下2021年に追記)と、今までの記事を書いてから公開するまでにだいぶ時間が経ってしまったのでこここの部分も古くなってしまったのですが、現時点での方針は以下の通りに変わってきています。

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2021年春の時点では

正直なところずっと悩みながら、今の仕事を続けています。農業についても諦めずに、この新規就農までの流れをこのブログ柱にして、達成できるまでがんばりたいと思っていたのですが、色々調べていくと現実は厳しいものという壁がどんどん出てきてしまいました…。

新規就農について参考にさせていただいている某農園さんのサイトが新しくなっており、園主さまのコメントも追加され、衝撃の事実が記されていました。園主さまのところは年商五千万円くらいの法人経営をされている農家さんなのですが、農薬混入事件が起こり数千万円の損害が出たそうです。

悪意による犯罪なのか人的ミスなのかはわかりませんが、一般的に農地を他人が全く侵入できないように厳重に囲うのはまず不可能ですし、用水路の水を潅水に使っているようだと上流で除草剤が撒かれ混入する可能性もありえそうです。素人なので詳しいところはわかりませんが、その辺は混入しないようにルールがあるのでしょうけれど、ミスはどこにでも起こりうるもの。

はっきりしない原因で年商の半分以上が簡単に吹っ飛んでしまう。ただでさえ天災や天候不順などどうにもならない要素が多い農業ですが、あらためてリスクの大きさに気付かされました。

そしてマイナスの方に大きく振れているリスクと言えそうなので、やはりゼロからの新規就農はかなりハードルが高そうです。せめて継げる農地でもあったら良かったのですが…。別の方法で脱サラすることも視野に入れるべきと考えはじめました。

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新参者が既存の団体へ入っていくことのハードル

前述の某農園さんのサイトを特に参考にさせていただいているのですが、Y町で苺農家として新規就農するためには苺組合に入り、JA経由で苗を買うことがスタートラインのようです。

JAで苗を買わなくてはならないというのは、種苗法の関係で登録品種を買う場合のようです。品種登録されていない一般品種であれば、苗を買うのはJA経由じゃなくても問題はなさそうです。組合加入は必須ではないのかもしれませんが、人気品種は登録品種であることも多いようです。

土地から探す新規就農のような場合、組合に入らないで始めようとするのはかなり難しそうです。組合未加入だと信用も低く、農地を借りるのも容易ではないでしょうし、地元の直売所に出荷することもできません。

そして組合に入るためには組合理事会の全会一致が必要だそうです。ぽっと出の人間がやりたいですといって果たして入れていただけるのか…既存の農家さんの立場からしてみれば、新規参入者が増えるということは競争相手が増えるとも言えますので、ひょっとすると簡単にはokがでないのではないか…そう思えます。

このあたりは実際に聞いてみないとなんとも言えませんが…調べれば調べるほど容易ではなさそうな新規就農、という感じです。

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半農半Xはどうだろう

いわゆる兼業農家という生き方です。やはり縁もゆかりもない土地で、新規就農から農業1本でやっていくには、相当の努力と技術と運と低収入でもめげない心が必要だということがわかりました。

私は5chのドケチ板に入り浸るくらいのドケチですので、最低限の所得があれば生きていけるんじゃないかとは思っています。そんなに贅沢したいとも思っていませんし。であれば、農家として起業するわけではなく、家庭菜園に毛が生えたレベルで自分が食べる分くらいの米や麦、野菜を作り、他に必要な資金を別の手段で稼ぐというのはどうだろうと考えました。

そうなってくると以前に書いた祖母の実家も視野に入ってくるので、要検討です。祖母の実家に移住するメリットは、家に田畑と山がついてくるロケーションとしては最高の場所です。デメリットはイノシシやサルなどの害獣が多いのと、今住んでいる場所から1000km以上離れているので遠い、今の時点ではまだ空き家にはなっていない…ということです。

後を継ぐ人も今の所居そうもないので、時期がくれば低コストで移住できそうなのですが。両親も今は元気なのですが、いずれ介護をすることになる可能性も考えておかなければなりません。先が読めないこんなときに裏切らないのは金(ゴールドではなくマネー的な方の)です。FIできる資産さえ確保しておけばいろいろな選択肢が選べます。悩んでいるうちはまずはここから、ですね。

農家への道もまだ完全に諦めたわけではないので、ひょっとすると方針転換があるかもしれません。…と書きましたが、2022年現在ではほぼ諦めています。上に書いたように、自給自足レベルの家庭菜園に毛が生えたようなものはFIRE後にやろうかなと思っていますが、農業1本で食べていくには相当の覚悟が必要だということがわかりました。

逆に言えば相当の覚悟がある方、サラリーマンに比べ自由にやることができたり、自然に囲まれて過ごすことはストレスから開放されるなど、調べた限り農業の職業としてのメリットはあります。簡単ではないでしょうが農業に挑戦する価値はあるはずです。よかったら私の体験を他山の石としてください。

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謝辞

最後に、農作業体験をさせていただいたY町の法人さま、Y町役場の担当者さま、県の農林振興センターの担当者さま、お話を聞かせていただいたY農園園主さまに感謝を。せっかくいろいろ教えていただいたのにご期待に添えない感じになってしまったのが申し訳ないのですが、少しでも役に立てばと思いせっかくの体験ですのでこうしてまとめさせていただきました。ありがとうございました。

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